アニサキスとは
アニサキスとは魚介類を介して人に感染する寄生虫の一種です。感染すると、腹部の激痛や腸閉塞など様々な症状を引き起こします。感染後約1週間で死滅するため、中には無症状の場合もあります。
アニサキスは胃カメラ検査で除去することができ、除去後は症状が治まります。除去が難しい場合には、薬によって症状を抑える治療を行います。
また、アニサキスは60度以上で加熱したり、マイナス20度以下で冷凍することによって死滅します。近年では鮮度管理が向上したため、アニサキスの感染は増加傾向にあるとも言われています。
もし魚介類を摂取後に上腹部通、下腹部痛、吐き気、嘔吐、発熱などの症状を起こした場合は、早めに当院までご相談ください。
アニサキスの症状
胃アニサキス症
胃アニサキス症とは、アニサキスが口から体内に侵入し、胃の壁に食いついた状態の疾患です。感染後3~4時間後に上腹部痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れますが、これらはアニサキスによる直接の痛みではなく、胃壁がアレルギー反応を起こすことで引き起こされます。治療では、アニサキスの除去が有効です。
腸アニサキス症
腸アニサキス症とは、アニサキスが口から体内に侵入し、腸に食いついた状態の疾患です。感染後数時間〜数日後に強い下腹部痛や吐き気、嘔吐、発熱などの症状が現れます。中には腸閉塞や腸穿孔に進展するケースもあり、その際には入院治療が必要になります。
消化器外アニサキス症
消化器外アニサキス症とは、アニサキスが消化管を突き破り、腹腔内に寄生した状態の疾患です。胃アニサキス症や腸アニサキス症に比べると発生頻度は低く、寄生した部位に応じて様々な症状が現れます。
アニサキスアレルギー
アニサキスがアレルゲンとなってアレルギー反応を起こすことがあります。感染後に蕁麻疹、血圧の降下、呼吸不全、意識消失などの症状が現れます。
アニサキスとアナフィラキシー
アナフィラキシーショックとは重篤なアレルギー反応を起こした状態で、日本におけるアナフィラキシーショックの主な原因として、アニサキスは食物や薬物に次いで多く報告されています。従来、青魚アレルギーと診断されていた症状が、アニサキスアレルギーである可能性もあります。青魚アレルギーと自覚していて青魚を摂取できない場合や、原因不明のアナフィラキシーショックを経験したことがある場合はアニサキスアレルギーの疑いもあるため、一度検査してみることをお勧めします。
アニサキスが多い魚類
アニサキスがみられる代表的な魚類は以下になります。
- サバ
- イワシ
- サンマ
- シシャモ
- ニシン
- イカナゴ
- タラ
- ハタハタ
- カレイ
- タイ
など
アニサキスが少ない魚類
以下は、アニサキスがいる可能性が低いとされる代表的な魚類になります。ただし、必ずしもいないというわけではないため、調理するときや食べるときにしっかり確認することが大切です。
- マグロ
- サーモン
- タイ
- ヒラメ
- カツオ
など
アニサキスによる食中毒を起こさないために
アニサキスによる食中毒の予防に最も有効な手段は、加熱処理や冷凍処理になります。アニサキスは60度の熱で1分以上加熱すると死滅します。また、マイナス20度以下で24時間以上冷凍することでも死滅します。したがって、刺身などを常温で生のままで食べる場合には、目視によってアニサキスの有無を確認する必要があります。アニサキスによる食中毒は調理者だけでなく、食べる側にも注意が必要です。
アニサキスに関するよくある質問
アニサキスを食べてしまった場合、すぐに症状が現れますか?
人によって個人差はありますが、一般的にアニサキスが体内に侵入してから症状が現れるまでには、数時間〜数日の潜伏期間があります。感染量や個人の免疫反応によっても異なるため、中には症状が現れないケースもあります。
アニサキスはどのように予防すれば良いですか?
アニサキス感染を予防するためには、魚介類を十分に加熱・冷凍することが有効です。アニサキスは60度以上で死滅しますので、魚を焼く、煮る、蒸すなどの高温調理が感染予防に繋がります。また、アニサキスはマイナス20度以下でも死滅しますので、生食や刺身を食べる場合は、冷凍処理を行ってから食べることも予防となります。
アニサキス感染は自然に治ることはありますか?
アニサキス感染は自然治癒しないため、治療が必要です。感染が疑われる場合は、お早めにご相談ください。
アニサキスの感染は地域や魚の種類によって異なるのでしょうか?
アニサキスの感染は地域や魚の種類によって異なります。一般的に寒冷な海域や生魚を好む食文化の地域は、感染のリスクが高いとされています。沿岸部や冷たい海水域で捕獲された魚に対して感染率が高いという報告もあります。
アニサキス感染は他の人にもうつることはありますか?
一般的にアニサキスは直接人から人へは感染しません。ただし、アニサキスに感染した人が嘔吐し、その嘔吐物が他の人の口に触れるなどした場合は、感染を起こす恐れはあります。