カンジダ性食道炎とは
カンジダ食道炎とは、カビの一種であるカンジダ菌が食道で異常繁殖した状態の疾患です。食道モリニア症(食道カンジダ症)と呼ばれることもあります。栄養状態の悪化や免疫抑制剤の使用、AIDS(エイズ)など免疫機能が低下する疾患が発症を誘発すると言われています。その他では、気管支喘息の治療薬であるステロイドの吸入薬を使用している場合も、発症の起因となることがあります。
カンジダ食道炎は、軽度であれば特に治療の必要はなく、経過観察で済むことがありますが、免疫機能が低下しているなど悪化の恐れがある状態の場合には、抗真菌薬による治療が行われることもあります。
カンジダ性食道炎の原因
カンジダ菌とは口腔内、消化管、皮膚に存在している常在菌の一つです。常在菌とは我々の体内に存在する病原性を示さない微生物で普段は無害な真菌ですが、免疫が低下したり体が弱った状態だと異常増殖を起こして様々な感染症を引き起こすことがあります。この常在菌であるカンジダ菌が食道の粘膜に感染して炎症を起こした状態をカンジダ食道炎と言います。カンジダ食道炎の起こすのはCandida albicanceと呼ばれるタイプのカンジダ菌になります。
カンジダ性食道炎の症状
カンジダ食道炎の主な症状は、軽い嚥下障害や胸焼け程度のものから、嚥下時に痛みが生じる場合まで様々なケースがあります。中には、自覚症状がなく検診などの胃カメラ検査で偶然発見されることもあります。
カンジダ菌の感染は食道の表層に留まることがほとんどで、食道の深部や血液中にまで感染が広がるケースはあまりありません。一方で、全身性カンジダ症という、心筋の感染や肝臓・脾臓の膿瘍などを起こした状態の初期症状として、食道が炎症を起こす場合もありますので、注意が必要です。
カンジダ性食道炎の検査・診断
カンジダ食道炎の主な検査としては、胃カメラ検査と生検検査があります。
胃カメラ検査
胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)とは、口もしくは鼻から細いスコープを挿入して、食道や胃、十二指腸などを直接観察する検査です。カンジダ食道炎を発症している場合、食道粘膜を胃カメラ検査で観察すると白いプラーク状の付着物が確認できます。胃カメラ検査でこの状態が確認された際には、カンジダ食道炎と診断されます。治療方針は、嚥下時痛などの症状の有無や程度に応じて検討していきます。
胃カメラ検査とは生検検査
生検検査とは、病変を直接採集して詳しく分析することで原因を特定する検査です。胃カメラ検査を行った際に食道粘膜に白いプラーク状の付着物が確認された場合は、組織を採取して病理検査を行うほか、培養検査を行ってカンジダ菌の有無を確認します。
カンジダ性食道炎の治療
カンジダ食道炎と診断されても自覚症状もなく軽症な場合は、特に治療の必要はありませんので経過観察となります。しかし、胸痛や飲み込みにくさなどを起こした場合や検査結果によって重症と判断された場合、また、全身性の免疫低下を起こした状態によって血液感染症や心筋の感染、肝臓・脾臓の膿瘍などの重篤な感染症を引き起こす恐れがある場合には、抗真菌薬による治療が行われることもあります。 全身性カンジダ症の初期症状として食道炎を起こしている場合は、進行すると重篤化する恐れがあります。ただし、感染が食道の粘膜のみに留まっている状態の場合は、その予後は良好とされます。