胃潰瘍とは
胃潰瘍は消化性潰瘍とも言われ、胃の粘膜や皮膚が障害を起こした状態の疾患です。胃潰瘍は現代社会においてごく一般的な疾患で、主な原因はピロリ菌やストレスとなります。これらが原因で胃液中の塩酸やペプシンという物質が胃の粘膜を消化してしまうことで、皮膚や粘膜がただれたり崩れ落ちて胃潰瘍を発症します。
以前は主に男性に多く見られる疾患でしたが、近年では更年期の50代の女性や若年層の発症率が高くなっています。また、発症には個人の性格も関与しているとされ、神経質で几帳面な性格やストレスを溜め込みがちな性格、思いやりのある性格や悩みや責任を一人で抱え込む性格の人などが発症しやすい傾向があるという報告もあります。
胃潰瘍の原因
ストレス
胃潰瘍の主な原因に、ストレスが挙げられます。イライラや過労、睡眠不足、緊張、不安などによる肉体的・精神的なストレスは胃潰瘍を誘発する恐れがあるため、注意が必要です。特に急激に強いストレスが生じた際には、急性胃潰瘍の引き起こすこともあります。
ピロリ菌の感染
ピロリ菌による感染は、胃潰瘍の原因の7割以上を占めるとされます。一般的にピロリ菌は口から感染し、初期症状として慢性胃炎を発症します。その後、一部が慢性胃潰瘍などに進行することがあります。 ピロリ菌による胃潰瘍と診断された場合は、抗生物質を1~2週間服用してピロリ菌を除去する治療を行います。
刺激の強い食品の摂取
刺激の強い香辛料や過度に熱い・冷たい飲食物を摂取すると、胃を刺激して胃潰瘍を引き起こす恐れがありますので注意しましょう。
強い薬や長期間の薬の服用
強い痛み止めやステロイドなどを長期間服用し続けると、胃に負担をかけて胃潰瘍を引き起こす恐れがあります。特に腰痛や膝痛、関節リウマチなどの痛み止めとして使用される非ステロイド性抗炎症薬は、胃腸の粘膜を損傷する副作用がありますので、過度な使用には注意が必要です。
喫煙・飲酒・コーヒーの摂取
喫煙は胃粘膜の血流を低下させるため、胃潰瘍を誘引する恐れがあります。また、過度の飲酒やコーヒーの摂取も胃に負担をかけ、胃潰瘍の原因に繋がります。
不規則な食生活
暴飲暴食や就寝直前の食事、早食いなどの食生活の乱れは、胃に負担をかけて胃潰瘍を引き起こす恐れがあるため注意しましょう。
胃潰瘍の症状
- 心窩部痛(みぞおちの痛み)
- 背中の痛み
- 軽食をとると症状が軽くなる
- 吐き気
- 嘔吐
- 食欲不振
- 体重減少
- 下血
- 胸焼け
など
胃潰瘍の検査
胃潰瘍の検査では、胃カメラ検査により胃の粘膜の状態を確認します。また、胃潰瘍以外にも、胃がんや悪性リンパ腫などの悪性疾患の場合でも胃に異常が見られることがありますので、必要に応じて組織検査も併せて行います。
また、胃カメラ検査では胃の粘膜を観察するだけでなく、ピロリ菌に感染しているかどうかも調べることができます。当院では、鎮静剤や鎮痛剤を使用して患者様の負担を軽減した苦痛のない胃カメラ検査を実施していますので、気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。
胃潰瘍の治療
現在では、胃潰瘍の多くは薬物療法によって治療することが可能です。出血を伴っている場合でも、胃カメラ検査時に止血処置が行えます。ただし、潰瘍から大量の出血や穿孔が見られた場合には緊急手術が必要になることもあります。
ピロリ菌感染症の場合は、抗生物質と胃酸分泌抑制作用がある薬を1週間服用することで除菌できます。除菌治療を行なっておくと、その後の胃潰瘍の再発率も大幅に低下しますので、早めに治療を受けておくと良いでしょう。
また、これら薬物療法によって症状が改善しても、胃粘膜が完全に回復するまでは薬の服用を継続する必要があります。一般的に、胃潰瘍の治療には数か月かかりますので、医師の指示に従って治療を継続していきましょう。
その他では、生活習慣の改善やストレスの解消なども、症状の改善や再発防止に有効です。これらは、自分に合った方法を見つけて、無理せずに長期間継続することが重要です。
胃潰瘍を放置するとどうなる?自然治癒する?
軽度の胃潰瘍であれば、自然治癒することもあります。ただし、発症の原因を特定し、根本的に改善しなければ再発を起こす恐れがありますので注意しましょう。